せっかくメモリを増設したのに、BIOSやWindowsで「半分しか認識されない」──そんなトラブルに悩んでいませんか。
実はこの現象、単なるメモリの不良ではなく、BIOSの設定・OSの仕様・ハードウェアの構成など、複数の要因が絡み合って発生することが多いのです。
本記事では、「メモリ 半分しか認識しない BIOS」というキーワードを軸に、問題を根本から理解し、確実に解消するための全ステップを整理しました。
BIOSのMemory Remap設定から、Windowsの「最大メモリ」制限、そしてCPU・スロットの物理的チェックまで、順を追って解説します。
読み終える頃には、あなたのPCが本来の性能を取り戻すために何をすべきか、明確に分かるはずです。
なぜ「メモリが半分しか認識されない」のか?まず知るべき仕組み
メモリを8GBや16GBに増設したのに、BIOSやWindowsで「半分しか認識されていない」と表示されることがあります。
これは単純な故障や接触不良のこともありますが、多くのケースではハードウェアとファームウェア(BIOS)間のメモリマッピング処理が原因です。
つまり、「物理的に認識している容量」と「OSが実際に使える容量」の間にズレが生じているのです。
BIOSがメモリをどう扱うのかを理解しよう
BIOS(Basic Input/Output System)は、電源投入直後にメモリを初期化し、どの領域をハードウェアやOSに割り当てるかを決めます。
この段階でチップセットが持つアドレス空間が重要な役割を果たします。
32bit環境では、約4GBのアドレス空間のうち一部がGPUやPCIデバイスに予約され、残りしかメインメモリとして使えません。
| 領域の種類 | 用途 | アクセス可能か |
|---|---|---|
| 0〜3.5GB | メインメモリ領域 | OSが使用可能 |
| 3.5〜4GB | デバイスI/O予約領域 | OSからは不可視 |
| 4GB以上 | 拡張メモリ領域(64bit対応) | Memory Remap有効時のみ利用可 |
この「4GBの壁」は、昔のPC構造から続くアドレス制約の名残です。
現在の64bit環境では解消されていますが、BIOS設定次第ではその制限を引きずってしまうことがあります。
OSが見えるメモリとBIOSの違い
BIOSは「検出できたメモリ」を全て報告しますが、OSは「実際に使える領域」だけをカウントします。
つまり、BIOS上では8GB認識されていても、Windows上では4GBしか使えないというケースが発生します。
これは主にメモリ再配置(Memory Remap)機能が無効化されていることが原因です。
| 表示箇所 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| BIOS | 検出された物理メモリ量 | 8192MB |
| Windowsシステム情報 | 利用可能なメモリ | 4096MB |
| msinfo32「予約済み」欄 | デバイスに割り当て済み領域 | 4096MB |
ここで重要なのは、「認識されている」と「使えている」は別物だという点です。
この区別を理解していないと、トラブルの原因を誤って判断してしまいます。
「認識されているけど使えない」状態の正体
GPU搭載PCでは、メインメモリの一部をVRAM(ビデオメモリ)として予約することがあります。
この予約領域はハードウェアが直接使うため、OSからは「使用不可」扱いになります。
つまり、物理的に8GB積んでいても、BIOSで「8GB検出/4GB使用可能」と表示されることがあるのです。
この状態は故障ではなく、メモリマップの仕様上の挙動です。
BIOSでメモリが半分しか認識しない主な原因5つ
ここからは、BIOSの画面上で「8GB中4GBしか認識されない」と表示されるときの主な原因を掘り下げます。
原因はハードウェア的なものと設定上のものに大別されます。
① Memory Remap機能が無効になっている
64bitシステムでメモリが半分しか認識されない場合、最も多い原因がこれです。
Memory Remap機能を無効にすると、BIOSが4GB以上のアドレス空間を確保できません。
ASUSやMSIなど多くのマザーボードでは、「Advanced」→「North Bridge Configuration」→「Memory Remap Feature」を「Enabled」に変更することで解決します。
Remapを無効にしたままだと、いくらメモリを増設してもOSからは半分しか見えません。
② デュアルチャンネル構成が正常に動作していない
メモリを2枚挿しているのに、1枚分しか認識されないケースでは、スロットまたはメモリの配置が誤っている可能性があります。
デュアルチャンネルは、同一容量・同一クロック・同一規格のメモリをペアで動作させる仕組みです。
差し込み位置を間違えると、片方が無効化され、結果的に「半分しか認識されない」状態になります。
| マザーボード上のスロット | 正しい配置 | 誤った配置 |
|---|---|---|
| Slot1 / Slot3 | 同色スロットに挿す | 隣り合ったスロットに挿す |
| Slot2 / Slot4 | 同容量で構成する | 異容量で混在させる |
③ BIOSのバージョンが古く新しいメモリに対応していない
最新のDDR4やDDR5メモリは、古いBIOSバージョンでは正しく初期化できない場合があります。
特に発売初期のマザーボードでは、初期BIOSが特定のメモリモジュールをサポートしていないこともあります。
メーカー公式サイトからBIOSアップデートを行うことで、認識が改善されるケースは非常に多いです。
④ CPUやチップセット側の制約
意外と見落とされがちなのが、CPUやチップセットのサポート上限です。
例えば、Intel Core i3の一部モデルでは最大メモリ容量が16GBに制限されており、これを超えると一部しか使えません。
マザーボードが対応していても、CPUが対応していなければ意味がないため、必ずメーカー仕様を確認しましょう。
⑤ メモリモジュール間の相性・SPD情報の不一致
SPD(Serial Presence Detect)は、メモリの情報をマザーボードに伝える小さなROMデータです。
異なるメーカー・ロット・クロックのメモリを混在させると、このSPD情報が一致せず、BIOSが誤認識することがあります。
この場合、同一メーカー・同一型番のメモリで統一するのが最も安定します。
| 組み合わせパターン | 挙動 | 対処 |
|---|---|---|
| 同一メーカー・同型番 | 安定動作 | ◎ 推奨 |
| 異メーカー・同クロック | 不安定になることがある | △ 片方のみ認識の可能性 |
| 異クロック・異電圧 | POST(起動)しないことも | × 非推奨 |
これら5つの原因を押さえておくだけで、「メモリが半分しか認識されない」トラブルの9割は解消できます。
残りの1割は、OS設定やハードウェア障害に起因するものです。
次章では、BIOS設定を正しく見直し、OSでの認識を回復させる具体的な手順を解説します。
OS側の設定や仕様が原因の場合のチェックポイント
BIOS上では正しくメモリが認識されているのに、WindowsやLinux上では半分しか使えないというケースもあります。
これは、OSの仕様や設定に起因している可能性が高いです。
ここでは、特にWindows環境でありがちな3つの要因を整理していきます。
32bit版Windowsを使用していないか
まず最初に確認すべきは、インストールされているWindowsのバージョンです。
32bit版のWindowsは、システム構造上最大で約3.2GBしかメモリを認識できません。
これは設計上の制限であり、設定変更では解決できません。
64bit版への再インストールが唯一の根本的な解決策です。
| Windowsのバージョン | 認識可能なメモリ容量 | 対策 |
|---|---|---|
| Windows 10 32bit | 約3.2GB | 64bit版に入れ替え |
| Windows 10 64bit | マザーボードの上限まで対応 | 設定確認 |
| Windows 11 64bit | 同上 | 問題なし |
「最大メモリ」設定が有効になっていないか(msconfigの確認)
意外と多いのが、この設定ミスです。
Windowsの起動設定で「最大メモリ」を制限してしまうと、BIOSでは8GB認識されていても、OSでは4GBしか使えません。
設定を確認するには、以下の手順を実行します。
- Windowsキー+R → 「msconfig」と入力して起動
- [ブート]タブ → [詳細オプション]をクリック
- [最大メモリ]のチェックを外す
- 適用 → 再起動
チェックが有効になっていた場合、強制的にその数値分しかメモリを使用できません。
BIOSで認識しているのにOSで半分しか使えない場合、まずこの設定を疑いましょう。
メモリの一部がハードウェア予約領域に割り当てられていないか
GPUやその他のデバイスが、メインメモリの一部を共有して使っていることがあります。
これを「ハードウェア予約領域」と呼び、BIOSやOS上で確認可能です。
確認方法は以下の通りです。
- Windowsキー+R → 「msinfo32」と入力
- [システムの要約]内の「インストール済みの物理メモリ」と「利用可能な物理メモリ」を比較
| 状態 | インストール済みメモリ | 利用可能メモリ | 原因例 |
|---|---|---|---|
| 正常 | 8GB | 7.9GB | 問題なし |
| 一部予約 | 8GB | 4GB | GPUメモリ共有やBIOS設定 |
予約領域はハードウェア依存のため、BIOSの「Integrated Graphics」設定などでメモリ割り当てを調整できる場合もあります。
オンボードGPU搭載PCでは、この設定が“半分しか認識されない”原因になることが多いです。
BIOSで正しくメモリを認識させるための具体的手順
ここでは、BIOS設定を見直してメモリを正しく認識させるための手順を、メーカーごとに分かりやすくまとめます。
この手順を実施することで、物理的には問題のないメモリが再び正しく全容量認識される可能性があります。
Memory Remap機能の有効化手順(主要メーカー別)
多くのマザーボードでは、Memory Remap機能を有効にすることで4GB以上のメモリ空間が正しく再配置されます。
設定場所はメーカーによって異なります。
| メーカー | 設定メニュー | 変更手順 |
|---|---|---|
| ASUS | Advanced → North Bridge → Memory Remap | Enabledに設定 |
| MSI | Settings → Advanced → Integrated Peripherals | Memory Hole RemappingをEnabledに |
| Gigabyte | Advanced Memory Settings | RemapをEnableに |
設定後は必ず保存して再起動し、BIOS画面で認識容量を確認しましょう。
BIOSアップデートの手順と注意点
古いBIOSは新しいメモリ規格や容量に対応していない場合があります。
公式サイトから最新版のBIOSをダウンロードし、メーカー推奨の方法でアップデートします。
- ASUS:EZ Flashユーティリティを使用
- MSI:M-Flash機能を使用
- Gigabyte:Q-Flashを使用
USBメモリを利用して更新するのが一般的ですが、更新中の電源断は致命的なので、UPS(無停電電源装置)を利用することを強く推奨します。
設定変更後の確認と再起動のポイント
設定変更やアップデートを行った後は、以下の手順で状態を確認します。
- BIOS起動 → 「System Information」でメモリ総容量を確認
- Windows起動 → 「msinfo32」で利用可能メモリを確認
- 差がある場合は、再度BIOS設定を見直す
特にMemory Remapを有効にしても変化がない場合は、ハードウェアレベルの問題(メモリスロットやCPUピンの異常)を疑う必要があります。
設定変更後の「再起動後の検証」こそが、問題解決の最終ステップです。
ハードウェア起因の問題を特定する方法
BIOS設定やOSの見直しを行っても改善しない場合、次に疑うべきはハードウェア自体の問題です。
特にメモリスロットやCPUソケットの異常、またはメモリモジュールそのものの故障が原因で「半分しか認識されない」ことがあります。
ここでは、誰でも実施できるチェック方法を具体的に紹介します。
メモリモジュールとスロットの入れ替えテスト
まず、メモリを1枚ずつ挿して起動する「シングルテスト」を行います。
2枚構成なら、1枚を抜いて片方だけをスロットAに挿し、起動後BIOSで容量を確認します。
次にスロットBに差し替えて同じ確認をします。
このとき、どちらかのスロットで認識されない場合は、スロットの故障またはマザーボード側の問題が濃厚です。
| テスト結果 | 想定される原因 | 対処方法 |
|---|---|---|
| 片方のスロットだけ認識しない | スロット不良・マザーボードの経年劣化 | 修理または交換を検討 |
| 片方のモジュールがどちらでも認識しない | メモリモジュールの故障 | 交換または保証対応 |
| どちらも認識するが容量が半分 | BIOS設定・CPUピン接触不良の可能性 | 次項へ進む |
デュアルチャンネルの正しい差し方
マザーボードの設計上、特定のスロット同士がペアになっている場合があります。
たとえば、ASUS製では「A2」と「B2」に挿す必要があるなど、メーカーごとに異なります。
説明書に記載されたペアスロット以外に挿すと、デュアルチャンネルが無効化されて片側が無視されることもあります。
色分けスロット=ペア構成の目印なので、必ず同色のスロットに挿しましょう。
| 構成パターン | 認識状態 |
|---|---|
| 正しいスロット(A2/B2) | 8GB×2 = 16GB認識 |
| 隣接スロット(A1/A2) | シングル動作・8GBのみ認識 |
| 1枚のみ | シングル8GB認識(正常) |
CPUのピン折れ・ソケット接触不良を見逃さない
CPUのメモリコントローラは、メモリスロットと直結しています。
そのため、CPUソケットのピンが1本でも曲がっていたり、グリスが入り込んでいたりすると、片方のチャネルが動作しなくなります。
CPUを取り外し、ピンの状態をルーペなどで確認します。
もしピンが曲がっていた場合は、自力での修復は難しいためメーカー修理または専門業者に依頼しましょう。
ここまで試しても直らない場合の最終手段
ここまでの手順をすべて試してもメモリが半分しか認識されない場合、問題はさらに深い部分にある可能性があります。
この章では、最終的に取るべきアクションを3つのレベルに分けて整理します。
マザーボードの交換・修理を検討すべきケース
メモリスロットやチップセットが物理的に損傷していると、ソフトウェア的な対処では改善しません。
特に古いマザーボードでは経年によるコンデンサ劣化やパターン断線が起きていることもあります。
このような場合は、マザーボード交換が最も現実的な解決策です。
| 症状 | 原因 | 対処方法 |
|---|---|---|
| スロット1基が常に認識しない | 物理破損・断線 | マザーボード交換 |
| どのメモリでも片側しか反応しない | チップセット不良 | 修理または交換 |
メーカー製PCでのサポート利用を検討
メーカー製PCの場合、独自のBIOS制限やカスタム設定が存在することがあります。
自力でのBIOS書き換えや内部設定変更は保証対象外になる可能性があるため、まずは公式サポートに相談するのが安全です。
特にノートPCでは、物理的なスロット不良よりもファームウェア制限で片側が無効化されているケースが多く報告されています。
専門業者への診断依頼という選択肢
最後の手段として、PC修理専門業者への依頼があります。
業者では、専用のメモリテスターやオシロスコープを使用して電気的な信号レベルまで診断してくれます。
自作PCユーザーであっても、内部短絡やマザーボード層の断線を自力で判断するのは困難です。
「一度業者に診てもらう」ことも、時間とコストを最小限に抑える有効な戦略です。
この段階で解決できれば、メモリの全容量を再び正しく認識させることが可能になります。
次の章では、ここまでの内容を整理し、トラブルを再発させないためのチェックリストを紹介します。
まとめ|メモリが半分しか認識されないときのチェックリスト
ここまで、「メモリが半分しか認識されない」現象の仕組みから、BIOS・OS・ハードウェアのそれぞれに潜む原因を解説してきました。
最後に、再発を防ぎ、効率的にトラブルを解消するためのチェックリストを整理します。
このリストを順番に確認すれば、問題の切り分けと解決の流れを一度で把握できます。
BIOS設定で確認すべきポイント
BIOS関連の設定は、メモリ認識問題の約6割を占めます。
まずは以下を確実にチェックしましょう。
| 項目 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| Memory Remap機能 | Enabledに設定 | 4GB以上の領域を再配置して全容量を認識 |
| BIOSバージョン | 最新に更新 | 新しいメモリ規格への対応を確保 |
| Integrated Graphics設定 | 共有メモリ容量を確認 | GPUによる予約領域の過剰確保を防ぐ |
「BIOSで半分しか認識されない」場合、Remapとバージョン更新が最重要です。
OS側で確認すべきポイント
BIOSでは正常なのにWindows上で半分しか使えない場合、OS設定が原因のことが多いです。
特に次の3つを確認しましょう。
| チェック項目 | 確認方法 | 対処 |
|---|---|---|
| OSのビット数 | 設定 → システム情報で「64bit」確認 | 32bitの場合は再インストール |
| 最大メモリ設定 | msconfig → ブートオプション | チェックを外して再起動 |
| ハードウェア予約領域 | msinfo32で「利用可能メモリ」を確認 | BIOSまたはGPU設定を見直す |
OS側の調整だけで劇的に改善することも多いため、BIOSを触る前にここを見直すのも有効です。
ハードウェア面での最終確認項目
設定変更でも改善しない場合、物理的な原因を切り分けましょう。
| 確認項目 | 具体的なチェック内容 | 対処方法 |
|---|---|---|
| メモリスロット | 1枚ずつ挿して起動確認 | 不良スロットならマザーボード交換 |
| メモリモジュール | 別スロット・別PCでテスト | 故障なら交換または保証対応 |
| CPUソケット | ピン曲がりや接触不良を確認 | 業者修理を依頼 |
これらの項目を確認しても解決しない場合は、内部パターン断線や電源ライン不良の可能性もあるため、専門業者での診断が確実です。
トラブルを再発させないためのポイント
一度解決しても、BIOS更新やパーツ交換時に再発することがあります。
再発を防ぐための基本ルールを押さえておきましょう。
- メモリは同一メーカー・同一型番で統一する
- BIOS設定を変更したら必ず再起動後に認識容量を確認する
- オンボードGPUのメモリシェア設定を固定値で管理する
- メモリスロットは定期的にエアダスターで清掃する
こうした小さなメンテナンスが、長期的な安定動作に直結します。
総まとめ:原因別チェックフロー
最後に、この記事で紹介したすべての内容を「原因別フローチャート」として整理しました。
| 症状 | 主な原因 | 確認ポイント | 対応策 |
|---|---|---|---|
| BIOSで半分しか表示されない | Memory Remap無効・スロット不良 | BIOS設定と物理テスト | 設定変更・交換 |
| Windowsで半分しか使えない | 32bitOS・最大メモリ設定・予約領域 | msconfig / msinfo32確認 | 64bit化・設定解除 |
| 全く認識されないスロットがある | ハード不良・CPUピン接触 | スロット入れ替えテスト | 修理・交換 |
メモリが半分しか認識されない問題は、原因を切り分ければ必ず解決できます。
焦らず順を追って確認していくことが、最短の解決への近道です。